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名古屋地方裁判所 昭和41年(わ)1263号 判決 1967年9月14日

本店所在地

名古屋市中村区鷹羽町一丁目二三番地

医療用及び家庭用薬品類、化粧品等販売業

マツオカ薬品株式会社

右代表者代表取締役

松岡政勝こと 劉鎬

本籍

韓国慶尚南道咸安郡法守面大松里一、一三九

住居

名古屋市昭和区山里町一一〇番地

会社役員

松岡政勝こと 劉鎬

昭和五年八月一二日生

右両名に対する各昭和四〇年法律第三四号による改正前の法人法税違反被告事件につき、当栽判所は、検察官今井良児出席の上審理を遂け、次のとおり判決する。

主文

被告人マツオカ薬品株式会社を罰金三〇〇万円に処する。

被告人劉鎬を懲役一年及び罰金一〇〇万円に処する。

被告人劉鎬において自己の罰金を完納することができないときは。金五、〇〇〇円を一日に換算した期間、同被告人を労役場に留置する。

被告人劉鎬に対し、この裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

訴訟費用は全部被告人両名の連帯負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告人マツオカ薬品株式会社は名古屋市中村区鷹羽町一丁目二三番地に本店を有し、医療用及び家庭用薬品、化粧品等の販売を営むもの、被告人劉類鎬は昭和三六年七月二四日頃から昭和三九年八月一〇日頃までの間同会社従業員として同会社の業務を総轄主宰していたものであるが、被告人劉は、同会社の業務に関し、昭和三七年七月一日から昭和三八年六月三〇日での事業年度における同会社の実際の所得金額は別紙第一表所得金額計算書記載のとおり一、八七五万七、五三〇円、その法人税額は別紙第二表法人税額等計算書記載のとおり七〇二万七、八五〇円であつたにもかかわらず、売上の一部を公表せず隠し預金を設定する等の不正の行為により、その所得の一部を秘匿した上、昭和三八年八月三一日所轄名古屋西税務署長に対し所得金額は七七万四、八三一円、その法人税額は二五万五、六八〇円である旨の虚偽過少の法人税確定申告書を提出し、以つて詐偽の不正行為により、右事業年度における正規の法人税額と右申告税額との差額六七七万二一七〇円の法人税を免れたものである。

(証拠の趣目)

一、被告人の当公判廷における供述(記録二〇五〇丁)(以下単に最初の丁数のみを示す)

一、第二回公判調書中の被告人の供述部分(一三丁)

一、被告人の検察官に対する各供述調書(一九六三丁ないし一九八七丁)

一、大蔵事務官の被告人に対する各質問てん末書(一九〇一丁ないし一九三四丁)

一、被告人作成の各上申書(一九三五丁ないし一九六二丁)

一、証人市川昌二、同樋口繁男、同安達健の当公判廷における各供述(八五丁、一九九一丁、二〇三二丁)

一、竹内京一、青木智子、安井明峰及び劉載圭の検察官に対する各供述調書(七四九丁、八〇三丁、八〇五丁、八五四丁)

一、大蔵事務官の佐藤商賢、竹内京一、高木滋史、佐藤兵治、伊藤錦子、久田芳正、久田雅子、青木智子、松岡喜三郎、玉樹よね子、山本一安、高鍋正雄及び嶺柄寛に対する各質問てん末書(七一三丁ないし七二二丁、七二八丁ないし七三六丁、七四一丁、七五六丁、七六一丁ないし七六七丁、七六八丁、七七一丁、七八六丁ないし七九八丁、七九九丁、八二五丁ないし八五一丁、八五八丁、八六二丁、九六六丁、一〇五九丁)

一、佐藤商賢、松岡喜三郎及び福島昭次作成の各上申書(七二三丁ないし七二七丁、八五二丁、八七三丁)

一、登記官作成の閉鎖登記簿謄本及び各登記簿謄本(一四一九丁、一四二三丁、一四三六丁)

一、大蔵事務官作成の各証明書(二二九丁、一九九丁)

一、大蔵事務官作成の各調査報告書(二三〇丁、二三五丁、二四〇丁、二四五丁、三六五丁、五〇八丁、五一二丁、五一八丁ないし七一二丁)

一、大蔵事務官作成の脱税額計算書説明資料(一二一丁)

一、大蔵事務官作成の脱税額計算書(一二〇丁)

一、別紙第一表所得金額計算書中、主な証拠記載の各証拠

(法令の適用)

被告人劉鎬の所為は昭和四〇年法律第三四号附則第一九条により同法による改正前の法人税法第四八条第一項、第二一条第一項に該当し、従つて被告人マツオカ薬品株式会社においては、昭和四〇年法律第三四号附則第一九条により同法による改正前の法人税法第五一条第一項、第四八条第一項の責任を負うべきところ、被告人劉鎬については、所定刑中罰金と懲役との併科刑を選択し、その所定刑期及び金額の範囲内で懲役一年及び罰金一〇〇万円に処し、被告人マツオカ薬品株式会社については、その所定金額の範囲内で罰金三〇〇万円に処し、被告人劉鎬において自己の右罰金を完納することができないときは刑法第一八条により金五、〇〇〇円を一日に換算した期間同被告人を労役場に留置することとし、被告人劉鎬に対し、情状により同法第二五条第一項を適用してこの裁判の確定した日から三年間右懲役刑の執行を猶予し、訴訟費用は刑事訴訟法第一八一条第一項本文、第一八二条により全部被告人両名に連帯して負担させることとする。

よつて主文のとおり判決する。

(栽判長裁判官 堀端弘士 裁判官 松島茂敏 裁判官 上田誠治)

第一表所得金額計算書

所得金額の算出方法は、財産増減計算法によつた(大阪高等栽判所第一刑事部昭和二六年七月六日判決刑事栽判資料九三号八五頁参照)。

資産の部(修正金額)合計 一二八、七三〇、一三八円

負債の部(修正金額)合計 一〇九、九七二、六〇八円

所得金額 一八、七五七、五三〇円

以下資産の部、負債の部の各内訳を示す。

一、資産の部

△印は負数を示す。

主なる証拠欄記載の丁数は証拠冒頭の丁数のみを示す。

〈省略〉

二、負債の部

△印は負数を示す。

主なる証拠欄記載の丁数は証拠冒頭の丁数のみを示す。

〈省略〉

〈省略〉

以上

第二表法人税額等計算書

〈省略〉

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